「XP教」に毒されていないか?

次世代のWindowsは、Vistaとかいうそうですね。
もうそんな時代だというのに、パソコンど~じょ~は貧乏臭くて(^^;、いまだに、あちこちの教室にWindows98マシンが入ってます。
「OSをそんなに大型化して、意味があるのかっ!」などと負け惜しみをいいつつ(^^;ゞ

遅れていることにも、いい面があるんですよ。
「流行を追いかけない」というのは、「物事の本質を見る」という姿勢につながる面があります。
#やっぱり、負け惜しみ?r(^^;



よく、入会の問い合わせで、「おたくはXPか?」という方がいます。
まったく初心者という方ですから、不安感でいっぱいでしょうし、こういう質問が出るのは当然です。
「OSでパソコン操作する場面はかぎられてる」など、ややこしいこと言っても始まらない。
まず、そういう不安を安心させてあげるところからがスタートしましょう。
くれぐれも、インストラクターが一緒になっておののいてはいけませんよ。


インストラクターとしては、初心者の方の気持ちを理解しながらも、さらに一段高い理解をしておかないと。
そのためにも、「そもそも、XPってなに???」という「哲学」も重要。

「XP」という言葉に踊らされ、トンチンカンな誤解をしているケースって、いっぱいあります。
いちばん多い誤解が、「WindowsXPとOfficeXPをゴッチャにしている」というもの。
「テキスト通りじゃないぞ!」「うちのパソコンと違うぞ!」ってケースのほとんどが、これ。

この誤解には、やむをえない理由もあります。
おそらく、Microsoftの戦略なんだろうな。
「OSでの市場占有率を利用して、XPという商標をオフィスソフトにも拡大し、オフィスソフト分野での占有率を確保する」ということじゃないかと。
最近は、OpenOffice.orgという無料オフィスソフトが、かなり幅を利かせてきて、Microsoftも危機感を感じているそうだから。
なにせ、敵は無料!
ふつうに戦ったら、なかなか勝てないですから、心理作戦というワケか。

お客に高いものを選択させる、いちばん効果的なのは、「不安感をあおる」という戦術です。
初心者は不安感を抱えているから、ヘンな教条に乗せられやすい。
「XPにあらずはパソコンにあらず」みたいな。



いうまでもなく、OSとアプリは、同じソフトでも性質がまったく異なります。
通常は、アプリを使って作業するのだから、操作性が違うと戸惑うことも多いでしょう。
しかしOSは、言ってみれば「黒子」。
役者が英語でセリフを言ったら、戸惑うでしょうが・・・
黒子たちが英語で打ち合わせしようが、ドイツ語で打ち合わせしようが、観客には関係ないハズ。
それと同じで、アプリで作業する範囲なら、Windowsが、95だろうが98だろうがMeだろうが2000だろうがXPだろうが、関係ない。

初心者が「XPか?」というときは、ややこしい説明をしてやるより、まずは安心させることがだいじ。
今では「WinXPが1台もない」という教室はないのだから、「大丈夫、98にもXPにも対応できます。Macはありませんが。」とでも言っておけばいいんじゃないかな。
インストラクターとしては、初心者の方たちのこういう心理を理解して対処してみてください。



「哲学」ついでに(^^;
さらに突っ込んで、「「違う」って何なの?」って考えてみると、おもしろいです。

たとえば、同じWordでも、ツールバーの表示の仕方によっては、「かなり違う」ですよね。
壁紙が違うだけで、「うちのパソコンと違う」って騒ぐ初心者の方もいます。
それだけで、「うちのパソコンと違うから、習ってもしょうがない」と思い込んでしまう。

そういうときは、何かにたとえて説明するといいですよ。
ボクはよく、車にたとえます。

だいじょうぶ、同じですよ(^^)
「うちの車は赤い。おたくの車は白いじゃないか!」って言う人はいませんよね。
そんなのは、車の運転とは関係ない。
パソコンでの「見た目の違い」ってのは、それと同じことですよ。
・・・てな調子で。

とにかく、誤解を解いていくには・・・
「違う」ということから逃げるんじゃなく、「違う」に対する心構えを、ふだんから伝えようとすること。
そこがだいじだと思います。


車って、それぞれの車種で、細かく違いがありますよね。
1ボックスカーは、チェンジレバーがシート脇ではなく、ハンドル脇についてたり。
ハンドブレーキが、キックタイプのものがあったり。
そんなちょっとした違いで、「うちの車と違うから、運転できないよー」って人もいます。
そういう人は、そのままでは絶対にFun to Driveできません。

そこで、そういう人には・・・
1.まず、違いを恐れさせないこと、安心させること。
2.いちばん小さな違いの一つを受け入れさせ、「違いの意味」を感じてもらうこと。
3.2をくり返していくこと。
・・・こうすることで、「違うことで、かえってそのものをよく知ることができるようになるのだ」とわかってもらえるようになってきます。
そうやって、「違うことの不安」を揉みほぐしてあげること。
それが、インストラクターの重要な役割なんじゃないかな。



ボクらの目的は、「パソコンを通じて、先生や生徒さんみなさんの輪をつくる」ということです。
そしてもう一つは、「パソコンでの自己表現やコミュニケーションを好きになって、楽しんでもらいたい」ということです。
今後、Vistaの後にも、企業側の事情で、MustaだのSmastaだの、いろんなのが出てくるでしょう。
そのたびに、生徒さんたちが「パソコンを楽しむことの大きな障害」を迎えるとしたら、それはとても残念なことです。

使いこなすためには、好きになること。
好きになるためには、小さな「違い」を受け入れられるようになること。
「違い」を受け入れるには、「受け入れよう」「受け入れても大丈夫なんだ」という気持ちを持つこと。
インストラクターのみなさんには、「違い」を受け入れられるよう、機会があるごとに、生徒さんに伝えていただきたいです。



補足:
XP教が広がったときに、教室に掲示してもらった文章、ボクのホームページにアップしておきました。
http://219.121.16.200/~noryyasuda/column/gougai2.htm