4泊5日漁業体験:5日目

いよいよ、最終日。
今日も凪で、漁に出られます。
4回全部漁に出られたし、網入れも毎日あったし、運がよかった。
この季節はワリと凪が多いそうですが、去年の研修生はほとんど漁ができなかったそうです。

出港して1時間半ほど、うまく魚群が見つかって、網入れ。
今日も、調子がよさそう。
「今日で最後だっぺ?」(←「だっぺ」は、方言です。)
「このまんま、残っちゃいなよ。」
なんて、話しかけてくれる。
これまでほとんど話してなかった人も、そんなふうに言ってくれる。
そう言われると、とってもうれしいです(*^_^*)

8時ごろ、またベルが鳴って、今日2回目の網入れ。
あぁ、これで終わりだな。
・・・と、どうしたワケか、網がまったく上がらない。
ウィンチがガックンガックン音を立てて、船からもげちゃうんじゃないかと思うくらい。
みんなで網をたぐったり、船をあちこち動かしたりしても、ダメ。

どうしたんだろう???
どうなっちゃうんだろう???

みんなも、どうしていいのか途方にくれちゃってる。
こんなときは、親方の指示だけが頼りです。
親方が、「ああしろ」「こうしろ」と怒鳴って、みんながあっちへ行ったりこっちへ行ったり。
調査船が曳航してきた小舟で、漁師さんたちが船の間を移動したり。
海の下だから、何が起きてるんだか、まったくわかりません。

悪戦苦闘しているうちに、ようやくワイヤーが上がってきました。
と、何かヘンなものが引っかかってる。
カキがビッシリついた、古い大きな錨(いかり)です。

水面までは上がってきたけど、網が絡まっちゃってるし、ものすごく重そうだし、身動きがとれない。
とにかく、絡まった網を外さないといけないけど・・・
どうしたらいいんだか。

と、親方の坊ちゃんが、ナイフを手に、小舟に移動。
錨に近寄って、ナイフで網を切ろうとしています。

こうやって書くと、「へぇ、そうなんだ」ぐらいのイメージですね。
表現力ないなぁ(^^ゞ
現実には、すごい場面です。
2隻の網入れ船に波がぶつかって干渉しあうから、船の間は波が入り乱れてる。
その中に小舟が入ると、木の葉のように揺れちゃうんです。
その中で、舟の上で立ち上がって、手を伸ばして、錨に絡まってる網を切らないといけない。
舟が錨にガツンガツンぶつかって、また離れて。
ちょっとでも気を緩めたら、体がふっとんで、錨にぶつかるか海に放り出されるか。

坊ちゃんのバランス感覚は、信じられない。
なんで立っていられるんだろう。
足に吸盤がついてるんじゃないか、って思うくらい。

若い漁師さんたちは、だいたいバランス感覚が優れています。
船の間を飛び移ったり、船べりを歩いたり、揺れてても平気で動き回る。
これまでも「すごいなぁ」とは思ってたけど・・・
波に翻弄されている小舟で仁王立ちとは!

やっとのことで網が切れ、ウィンチなどを使って苦心惨憺して錨を甲板に上げることができました。
最後の漁は、とんでもないものが上がってしまった(~_~;)

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