コラム 10月号

先月、どういうイキサツか、瀬戸内海の方に行くことになってしまいました。
なんと片道12時間、ひたすら高速道路を走ります。
ほとんど運転ばかりしていたような。
高速道路という閉ざされた世界の、住人になった気分です。

さらに、泊まったところは、くさ~い臭いのする国民宿舎。
あぁ、なんでこんなところに来てしまったんだろう。
きっと、運命の神様が、ボクの忍耐力を試しているに違いない。
う~、あまりの臭さに、頭が爆発しそうだ。

そんなマイナーな気分を紛らそうと、部屋にあったパズルを、何ともなしにやってみました。
よく、旅館に置いてありますよね。
たぶん、見たことがありますよ。
「the T」という名前だそうです。
 ←こんなんです

4個の木片を組み合わせて「T」の形にするというもの。
たった4ピースの組み合わせだから、せいぜい100通り程度のパターンしかないだろう。
すぐにできちゃいそう。

そんなふうにタカをくくってやってみるのですが、どう組み合わせても「T」の字にならない。
「1ピース、足りないんじゃないかな」なんて探してみたり。
たった4ピースだから、これだけ試してできないということは、原理的にできないハズ。
でも、ケースには「できる」ってちゃんと書いてある。
う~ん、おかしいぞ。

そんなこんなで悪戦苦闘。
しばらくやっていると、ホントに意外なことに、できてしまうんです。
そして、一度できてしまうと、残りの問題も簡単にできちゃう。
不思議ですよね。
ちょっと前まで「原理的にできない問題」と思っていたのに、今では「できるのが当たり前」に変わっている。

このパズル、人生上の困難な場面に直面している人に、ぜひやってもらいたい。
キミたちなら、勉強や進学の問題、友だちなど人間関係の問題。
おとなだったら、生活や仕事の問題などなど。
「もう、どうしたって、道がない!」そう思ってしまうときってありますよね。
そんなときこそ、この「the T」をやってもらいたい。

たった4ピースのパズルでも、「絶対にできない」と思ったことができてしまう。
人生の問題は、こんなパズルよりも、ずっとずっと条件が複雑です。
ということは、「絶対にできない」なんてことはないんじゃないか。
ちょっと禅問答のようですが、「「できる」も「できない」も、本人が決めること」なのではないか。
そんな気がしてきます。


ちょっと話は変わりますが、今月の21日は「エジソンの日」だそうです。
あの、発明王トーマス・エジソンが、植物繊維をフィラメントにすることを思いついて、初めて実用的な電球を灯した日です。
他の人がみなあきらめ、自身も何千回の実験に失敗しながら、なぜ彼はあきらめなかったのか。
電球の発明よりも、そっちの方がずっと不思議です。
伝記を読むと、まるで未来を見てきて、「絶対に答えはある」と確信しているかのよう。

もしかしたら、エジソンは、「「絶対に○○ではない」ということは、絶対にない」ということを、真理だと確信していたのかもしれません。

ボクらが何かの問題に直面したとき、道が見つからなくて途方にくれたとき、「the T」のことやエジソンのことを思い出してみてください。
答えが見つかるかどうかは、自分が「答えがある」と確信するかどうかにかかっている。
きっと、そういうことです。